簿記の勉強(続き3) 第2編取引の記帳(その1) 第10章現金・預金に関する記帳
今までは簿記の基礎で仕組みを中心に勉強して来たので、感動も有った。
これからは、取引記帳の実務面の勉強に入る。
とにかく規則を覚えるしかないと思っている。
第2編 取引の記帳
第10章現金・預金に関する記帳
1.現金
(1)簿記で現金として扱われるもの
簿記で現金として扱われるものは、通貨、他人振出の小切手、送金小切手、郵便為替証書が有る。
(2)現金に関する記帳のルール
現金として扱われるものを受け取ったり、支払ったりする取引は、現金勘定(資産の勘定)を用いて記帳する。
・現金を受け取った時、受取高(収入高)を現金勘定の借方に記帳。
・現金を支払った時、支払高(支出高)を現金勘定の貸方に記帳。
現金勘定は常に借方残高となり、現金の手許有高を示す。
現 金
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前期繰越 |
−−−−−−−−
| 支払高
受取高 | (支出高)
(収入高) |ーーーーーーーーーー
| ・・・・> 次期繰越
ーーーーーーーーー| (手許有高)
2.現金出納帳
(1)現金出納長とは
現金に関する取引の明細を記入する帳簿を現金出納帳と言う。
現金出納帳の残高は、現金勘定の残高と常に一致する。
定期的に現金勘定の残高と現金出納帳との残高を照合する事で記帳に誤りが無い事を確認出来る。
(2)現金出納帳の記入方法
現金出納帳は、取引の明細を記入し、元帳の現金勘定の記録を補う役割を持つ補助簿と言う。
現金出納帳
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年 | 摘 要 | 収 入 | 支 出 | 残 高
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
5月1日|前月繰越 | 500 | | 500
10日|K商店から売掛金回収 | 100 | | 600
15日|S商店から商品仕入れ | | 50 | 550
25日|給料支払 | | 100 | 450
31日|次月繰越 | | 450 |
| |−−−−−−−−−−−−−−
| | 600 | 600 |
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6月1日|前月繰越 | 450 | | 450
| | | |
・摘要欄は、取引先名、取引内容等の明細を記入。
・収入欄は、現金受取高を記入。
・支出欄は、現金支払高を記入。
・残高欄は、前期繰越から当月取引の発生毎に残高を記入。
・月末に、最終残高を支出欄に記入して次月繰越記入(赤で記入)して帳簿を締めきる。
3.現金過不足
(1)現金過不足とは
現金の実際有高が現金勘定や現金出納帳に記録されている残高(帳簿残高)と食い違いが生じる場合が有る。
これを現金過不足と言う。
(2)現金過不足に関する記帳のルール
現金過不足には、三つの取引が有る。 この時は、現金過不足勘定を用いて記帳する。
・現金過不足が発生した場合の記帳
・現金過不足の原因が判明した場合の記帳
・決算時にも現金過不足の原因が判明しない場合の記帳
@現金過不足が発生した場合の記帳
現金過不足が発生した場合には、帳簿残高を実際有高に一致させる様に記帳する。
過不足が発生した場合、現金勘定を増やす場合(借方に)、減らす場合(貸方に)で仕訳する。
実際有高<帳簿残高: (借り)現金過不足 xxx (貸し)現金 xxx
不足額を現金勘定の貸方と現金過不足勘定の借方に記入
実際有高>帳簿残高: (借り)現金 xxx (貸し)現金過不足 xxx
過剰額を現金勘定の借方と現金過不足勘定の貸方に記入
A現金過不足の原因が判明した場合の記帳
原因が判明した場合は、現金過不足勘定から該当する勘定に振替える。
実際有高<帳簿残高: (借り)該当する勘定 xxx (貸し)現金過不足 xxx
実際有高>帳簿残高: (借り)現金過不足 xxx (貸し)該当する勘定 xxx
B決算時にも現金過不足の原因が判明しない場合の記帳(現金過不足の整理)
決算日に現金過不足が発生し、原因が判明しない場合は、現金過不足勘定に振替えずに直接雑益勘定
または、雑損勘定に振替えて、現金勘定を修正する。
( (借り)現金xxx (貸し)雑益xxx または (借り)雑損xxx (貸し)現金xxx )
実際有高<帳簿残高: (借り)雑損 xxx (貸し)現金過不足 xxx
不足額を雑損勘定(雑損失勘定)(費用の勘定)に振替える
実際有高>帳簿残高: (借り)現金過不足 xxx (貸し)雑益 xxx
過剰額を雑益勘定(雑収入勘定)(収益の勘定)に振替える
4.当座預金
(1)当座預金と小切手
当座預金は、小切手の振出により、何時でも引出が出来る銀行預金。
小切手の作成者が振出人で、小切手を受ける人を受取人と言う。
(2)当座預金の記帳ルール
当座預金の取引(当座取引)は、当座預金勘定(資産の勘定)を用いて記帳する。
当座預金勘定は、借方残高と成り、当座預金の現在高を示す。
@他人振出の小切手を預け入れた時:当座預金勘定の借方に記入
A銀行振込による送金を受けた時:当座預金勘定の借方に記入
B小切手を振り出した時:当座預金勘定の貸方に記入
5.当座借越
(1)当座借越とは
小切手の振出は当座預金残高を超える事が出来ない。(残高を超えて振り出された場合不渡りとなる)
但し、予め銀行と当座借越契約を結んで置けば、借越限度額まで預金残高を超えて小切手を振出す事が出来る。
この場合、預金残高を超えた金額は、銀行からの借入と同じ扱いになる。
この様な便利な借入の方法を当座借越と言う。
(2)当座借越に関する記帳のルール
当座借越に関する取引の記帳には、当座預金勘定(資産の勘定)と当座借越勘定(負債の勘定)の二つを用いる
方法と、当座勘定(資産にも負債にも成る勘定)だけで記帳する方法が有る。
@当座預金勘定と当座借越勘定を用いて記帳する方法
・預金残高を超えて小切手を振出した時(当座借越):負債の勘定である当座借越勘定の貸方に記入
・他人振出の小切手を当座預金に預け入れた時:当座借越の返済に当てられるので、当座借越勘定の借方
に記入。
当座借越高を超えた預け入れの場合は、その差額を当座
預金勘定の借方に記入
A当座勘定だけで記帳する方法
・当座預金への預け入れ時:当座勘定の借方に記入
・当座預金の引出時:当座勘定の貸方に記入
当座勘定が借方残高の時は、当座預金の残高を示し、貸方残高の時は、当座借越高を示す。
6.当座預金出納帳
(1)当座預金出納帳とは
当座預金の預け入れと引出の明細を記録する補助簿に当座預金出納帳が有る。
当座預金出納帳の残高は、元帳の当座預金勘定の残高と一致する為、定期的な照合により、記帳の正しさを
確認する事が出来る。
(2)当座預金出納帳の記入方法
当座預金出納帳
XXX銀行XX支店 ーー>取引銀行別に取引明細・残高を明示
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年 | 摘 要 | 預 入 | 引出 |借貸 | 残高
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
5月1日|前月繰越 | 200 | |借 | 200
7日 |家賃支払 小切手#1 | | 60 |〃 | 140
15日 |O商店に買掛金支払小切手#2| | 230|貸 | 90
20日 |H商店の売掛金回収 | 350 | |借 | 260
25日 |今月分給料支払 小切手#3 | | 140 |〃 | 120
31日 |次月繰越 | | 120 | |
| |ーーーーーーーーーーー| |
| | 550 | 550 | |
===== ============ ========
6月1日 |前月繰越 | 120 | |借 |
| | | | |
・日付欄:取引の行われた日付
・摘要欄:取引の内容の明細を記入。 振出した小切手番号は必ず記入する。
・借貸欄:残高が借方または貸方に有るのかを記入。 貸方残高の場合は当座借越を示す。
・月末に最終残高を引出欄に記入して、次月繰越記入をする。
・預入、引出の合計を記入して月次締めを行う。
7.その他預貯金
当座預金以外の預貯金には、銀行の普通預金、定期預金、通知預金、また、郵便貯金も有る。
これらの預貯金に関する取引は、各々の種類毎に勘定を設けて記帳する。(纏めて諸預金勘定の場合も有る)
・預入の場合:各々の預貯金の勘定の借方に記入する。
・引出の場合:各々の預貯金の勘定の貸方に記入する。
・各預貯金毎の明細が分かる様に補助簿の各預貯金出納帳に記入する。
8.小口現金
(1)小口現金と定額資金前渡法
日常の小額の支払について、会計係が予め用度係(または、小払い係)に必要な現金を前渡し(小口現金
と言う)、そこから支払いに当てる方法を定額資金前渡法(インプレストーシステム)と言う。
@会計係は、予め定められた1ヶ月分の小口現金の必要額を月の初めに小切手で用度係に前渡する。
A用度係は、その小切手で銀行で現金に換えて、手許に保管する。
B用度係は、日常の小額の支払を小口現金から行い、その支出の明細を小口現金出納帳に記入する。
C用度係は、月末に会計係に対して、小口現金の支払報告を行う。
D会計係は、用度係から報告された支払高と同額の小切手を翌月分の小口現金として用度係に渡す。
従って、月初に用度係が保管する小口現金は常に一定額に成る。
(2)小口現金に関する記帳のルール
会計係は小口現金勘定(資産の勘定)を設け、月初と月末に記帳する。
@月初に、用度係に小口現金として小切手を前渡した時に、その前渡額を小口現金勘定の借方に記入。
A月末に、用度係からの支払の報告を受けた時、その支払額を小口現金勘定の貸方に記入。
B上記支払高と同額を小切手で用度係に補給した時、補給額を小口現金勘定の借方に記入。
仕訳例: 5月1日 (借り)小口現金 30 (貸し)当座預金 30
30日 (借り)交通費 7 (貸し)小口現金 26
通信費 8
消耗品費 5
雑費 6
31日 (借り)小口現金 26 (貸し)当座預金 26
9.小口現金出納帳
(1)小口現金出納帳とは
小口現金の収支明細を発生順に記録する補助簿を小口現金出納帳と言う。
この帳簿の記帳は、小口現金を管理する用度係が行う。
(2)小口現金出納帳の記入方法
小口現金出納帳
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受け入れ |年 |摘要 |支払 | 内 訳 |残高
| | | |ーーーーーーーーーーーーーーーー|
| | | |交通費|通信費|消耗品費|雑費|
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30 |5月1日|小切手 | | | | | | 30
| 5日|電話代 | 4 | | 4 | | | 26
| 10日|タクシー代 | 3 | 3 | | | | 23
| 18日|文房具代 | 3 | | | 3 | | 20
| 23日|郵便切手代 | 3 | | 3 | | | 17
| 25日|新聞代 | 5 | | | | 5 | 12
| 31日|帳簿代 | 2 | | | 2 | | 10
| | |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−|
| | 合計 | 20 | 3 | 7 | 5 | 5 |
| | |−−−|================|
20 | 31日|小切手 | | | | | | 30
| 31日|次期繰越 | 30 | | | | |
−−−−−−−| | |−−−| | | | |
50 | | | 50 | | | | |
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30 |6月1日|前期繰越 | | | | | | 30
| | | | | | | |
・受け入れ欄:小口現金用の会計係から定期的に受け取る小切手の金額を記入。
・日付欄:小口現金を支出した日付を記入。
・摘要欄:取引の明細を記入。
・内訳欄:支出した内容が該当する費用に分類して記入。
・残高欄:小口現金の収支の残高を記入。
・月末に、会計係に支出額を報告して補給を受ける。(31日の小切手受け入れ)
・補給後の残高を支払欄に記入して次月繰越記入する。